第9回(2003.11.30) 
フィッシューボーンダイアグラムで問題の起こる背景を理解する
 

◆フィーッシュボーンダイアグラムとは?
 QCで定番の問題の原因分析手法というとフィーッシュボーンダイアグラムである。フィッシュボーンダイアグラムは「特性要因図」と呼ばれることもある。簡単にいうと

 特性=結果
 要因=結果を構成する条件

という2つの要素を使って、注目している対象の構造を記述したのが、フィッシューボーンダイアグラムである。

 図は、プロジェクトのコストに関する要因特性図である。この図を見て意外に感じる人も多いのではないかと思う。問題分析の中でフィーッシュボーンダイアグラムを書くと、問題の構造を書くことが多いからである。


 本来のフィーッシュボーンダイアグラムはこのように問題の構造を示すものではなく、文字通り、特性と要因の関係を表した図である。ここに注意をしておいてほしい。

◆フィーッシュボーンダイアグラムによる問題分析
 さて、では、このフィーッシュボーンダイアグラムを使ってどのように問題の原因を分析していくのか?ダイアグラムさえできてしまえばそれ自体はそんなに複雑な話ではない。図の例でいえば、何かプロジェクトのコストに問題があったとしよう。コストがオーバーしていたり、コストが予定通り消化していなかったりしたとする。すると、ここに示されているフィーッシュボーンダイアグラムの要因をひとつずつチェックしていくことによって、どこに問題があるかを知ることができる。プロジェクトコストについては予算管理をしっかりとしているので、フィーッシュボーンダイアグラムを書いて分析をするような局面はないと思うが、例えば、生産性といった特性であれば、プロジェクトマネジメントのツールの中で管理しているツールはないので、フィーッシュボーンダイアグラムを使って分析するとよいだろう。

 つまり、フィーッシュボーンダイアグラムは原因の特定をするものではなくて、そのチェックポイントを作るものだと考えておいたほうがよいだろう。つまり、フィーッシュボーンダイアグラムはボトムアップの手法ではなくて、トップダウンの手法であるということをよく覚えておいてほしい。

◆MECEとフィーッシュボーンダイアグラム
 しかし、現実にフィーッシュボーンダイアグラムを書いてもらうと、図のようなものが多い。これが役に立たないかというとそうでもない。このような形で問題になる現象を特性として、それを構成する要因を挙げていくというのは役に立つ。QCでこのようなフィーッシュボーンダイアグラムがよく書かれる理由は(プロジェクトでも一緒だが)、ミーティングでみんなで思いつくままに上げていき、それをそのまま整理するというやり方をするからだ。


 上に述べたようにフィーッシュボーンダイアグラムという手法としてはこのような使い方は正しいとはいえないが、ただ、役に立てばそれでいいと思う。その際に注意しなくてはならないことはMECEになるように作っていくことだ。逆にいえば、KJ法でも同じことがいえるが、ボトムアップの手法はモレが出てくることは宿命だ。ミーティングリーダーは常にその点を意識し、モレを出さないようにファシリテートしていく必要がある。

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